JODR (Japan Association for Online Dispute Resolution)

日本ODR協会

Japan Association for Online Dispute Resolution (JODR)

カナダ|「フェアな対応」で100%の利用者満足度を達成したオンライン裁判所

カナダのCivil Resolution Tribunalでは、毎月、利用件数などの統計データに加えて、利用者満足度を公表していますが、利用者満足度の調査項目として、「使いやすさ(Easy to Use)」や「迅速さ(Timely Resolution)」、「他の人に利用を勧めたいか」といった7項目が設定されています。

これまでも、これらの項目に対し、6−9割程度の高い利用者満足度を記録してきたCRTですが、この5月、ついに「フェアな対応(Fair Treatment)」の項目で、100%を達成しています。

もちろん、利用者がCRTの対応に対し、具体的にどの部分をフェアだと感じたのか、詳細は公表されていませんが、一般に、人は不満を感じる時の方が利用者調査などで辛口の評価を下すものと考えられます。

そのようなアンケートの特性を考慮すると、回答した全員が「フェアな対応」の項目で満足を示したこと、そして、94%が他の人にCRTの利用を推奨すると回答したことは、利用者がCRTに信頼を寄せていることの証だと考えます。

また、新型コロナウイルスの影響を受け、各国の裁判所で期日が延期になっている中でも、CRTでは通常運営を続けていたのは、本協会の別の記事でも紹介した通りですが、5月のCRT利用者数の統計データみてみると、Solution Explorerという、利用者がCRTに対し申立てをするか否か、その判断を支援する診断ツールの利用者数が約1万件増加しています。

たとえば、コロナの流行が本格化する前の2月のデータと比べてみると、Solution Explorerの利用者数は109,587件であるのに対して、5月は120,741件の利用となっています。

この理由が、CRTの認知度の向上によるものか、コロナの影響を受けて紛争が増加しているのか、詳しい理由は明らかではありませんが、いずれにしても、カナダのブリティッシュ・コロンビア州では、コロナの最中であっても、毎月、潜在的な法的トラブル10万件を人の手を介さずに、オンライン上で解決していたことになります。

なお、Solution Explorerの利用後、実際に申立てにまで至る(紛争として顕在化する割合)のは1%以下(0.5%を下回ることも)で、毎月300〜500件程度。紛争として顕在化する前の段階で、このようなITツールを活用して、利用者が必要な情報を自ら得ることができれば、その大多数はオンライン上で処理されるということが数字として示されています。

今回のコロナのように、在宅勤務を余儀なくされる状況では、電話相談の対応要員を確保することも容易ではありません。また、社会に混乱が大きくなればなるほど、多種多様な紛争が生じることになり、当事者が適切な相談窓口にまでたどり着けるのか、司法アクセスの確保という点からも課題となります。

そのようなとき、オンライン上で必要な情報を得られて、必要に応じて実際に解決までを実現できる、CRTのようなツールの意義は大きいと考えます。日本でも早々に、このような情報提供を可能にするオンラインプラットフォームの整備を進めることが必要なのではないでしょうか。

参照:

Participant Satisfaction Survey-May 2020

CRT Statistics Snapshot-May 2020 

(文責:渡邊真由)

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