サスカインド教授が世界のオンライン裁判所(Remote Courts Worldwide)に関するプロジェクトを開始
“Tomorrow’s Lawyer“の著者であり、リーガルテクノロジーの研究でも世界的に知られるイギリスのリチャード・サスカインド教授は、新型コロナウイルスの世界的拡大を受けて閉鎖を余儀なくされている裁判所が多い現状に鑑み、新たなプロジェクト”Remote Courts Worldwide“(世界の遠隔裁判所)を立ち上げました。
サスカインド教授は、このウェブサイトを立ち上げた理由として以下のように述べています。
コロナウイルスの流行が拡大し、世界中の裁判所が閉鎖されています。そのような状況の中、このウェブサイトが目的とするのは、裁判官、弁護士、裁判所職員、訴訟当事者、法廷技術者など司法の関係者が、従来の裁判所における審問に代わる「リモート(遠隔)裁判所」の経験を共有できるようにすることです。
司法への継続的なアクセスを確保するためにも、各国の政府や司法機関は、音声による審問(主に電話)、ビデオによる審問(スカイプやズームなど)、書面による審問(書面に基づく判決)など、様々な形態の「遠隔裁判所」の導入を急いでいます。
驚くべきスピードで新しい方法や技術が開発されていますが、その一方で、世界中の裁判所で同じような作業が行われている危険性もあります。そのような状況に対応すべく、このウェブサイトでは、遠隔裁判所におけるイノベーションを推進しようとする人と司法の分野で働く人々が情報交換(運用システム、 計画、アイデア、政策、プロトコール、技術、セーフガードなど)できる場を提供しています。
このサイトを利用することにより、司法の関係者はお互いの成功と失敗から学ぶことができるはずです。ぜひみなさんもこのサイトの運営に協力してください。利用者のみなさんが定期的に情報をアップデートすることにより、このサイトを遠隔裁判所に関するリポジトリとして発展させたいと考えています。
サイトを見てみると、すでにアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インド、アルゼンチン、プエルトリコ、ペルー等の国々が各国における運用状況などについて情報を掲載しています。今後、各国の事例について、本サイトでもピックアップして紹介していきたいと思います。
(文責:渡邊真由)