ICODRがオンライン調停・仲裁のガイドラインを公表
オンラインでメディエーションや仲裁を行うにあたり、手続実施者はどのようにそのプロセスを進めたら良いのでしょうか。
ODRの国際団体であるICODR(International Council for Online Dispute Resolution)では、ビデオ会議システムを利用する際のガイドラインを公表しています。
1.アクセスのしやすさ
各当事者に対し、オンライン環境を使用してプロセスを進める意思があるかどうかを個別に確認してください。その際、両当事者の通信環境が問題ないことを確認します(例えば、音声がクリアか、照明が適切か、帯域幅が良いか等)。ビデオ会議のプラットフォームは、当事者が無料で利用でき、信頼性が高く、簡単にログインできるサービスを利用します。また、オンライン審理を開催する2日前までに両当事者にログイン情報を送信します。開始予定時刻の2時間前にも同様に、ログイン情報を再送信します。
2. 適切に進められること
両当事と実際にオンラインでメディエーションや仲裁のセッションをする前に、まずは、各当事者と問題なくビデオ会議ツールが利用できるかを確認し、どのようなテクノロジーを利用するのかを説明します。また、ビデオ会議システムを利用したメディエーションの実施に関する倫理規定等を確認し、両当事者にも同じく倫理規定やルールなどを伝えておきます。
3.機密の保持がされること
当事者に対し、オンライン・メディエーションの様子が録画・録音されないことを伝えましょう。同様に、セッションが始まるまでに、両当事者に対し、オーディオやビデオによる記録、スクリーンショットによる撮影をしないよう要請し、誓約書にサインをしてもらいます。セッションの最中に、当事者から書類や写真を見せたいと依頼を受けた場合は、添付ファイルとしてメール送信するのではなく、画面を共有して見せるようにしてください。また、当事者全員がセッションに参加したら、他の参加者が参加できないように部屋に鍵をかけます。
4.公正、中立であること
全員のビデオとマイクがオンなった状態で、全員がその場にいるような状況になってからセッションを開始します。セッションを開始後、当事者の一人の通信が切断された場合は、その人が再度参加できるようになるまでセッションを中断します。当事者の音声が途切れたり、歪んだりした場合は、音声が再開された後に、再び発言内容を繰り返してもらうよう伝えます。そのようなトラブルに備えて、常にバックアップとして、別の通信方法を用意しておきます(例えば電話でダイヤルするなど)。セッション開始の10 分前にはオンラインプラットフォームに参加しておき、何か問題があればその段階で解決を試みましょう。
5.安全性に配慮すること
エンドツーエンドで暗号化された安全なビデオ会議プラットフォームを使用してください。位置情報の共有を要求するアプリなどは使用しないようにしましょう。または、位置情報の共有をオフにできることを伝えて、その方法について説明します。一定の時間が経過しても、ビデオ会議が「タイムアウト」したり、終了したりしないように設定します。また、ビデオ会議中は、話し手だけが強調される設定ではなく、スクリーン上に全員の顔が表示されるように設定します。
参照:ICODR Video Mediation Guidelines
※ICODRより翻訳の許可を得て掲載しています
(文責:渡邊真由)