ICODRが公表する、ODRトレーニングの内容
ODRの国際団体であるICODRでは、オンラインでのメディエーションや仲裁の進め方について、ガイドラインを公表していますが、それ以外にも、ODRに携わる実務家に対し、トレーニングプログラムを提供しています。
ICODRのトレーニングプログラムの内容は次の通りです。
1.ODR:定義と基本的なテクニック
(1) ODR総論:
ODRの概要、定義、歴史、コンテクスト
(2) ODRの種類:
– 交渉
– 調停
-評価/仲裁(法的拘束力がある事案とない事案の両方)
-アルゴリズムによる解決(第四当事者)
(3) ODRにおけるコミュニケーションの種類:
– 同期(ビデオ、オーディオ、テキストチャット、同時コラボレーションなど)
– 非同期(ディスカッションフォーラム、電子メールなど)
(4) 対面でのADR手法のオンライン環境への適応
(5) 実務家に求められるスキル(技術管理、問題解決に向けたまとめ方、当事者間のパワーバランスをどう図るかなど)
2. ODR倫理
(1) ODRの倫理(ICODR基準とNCTDR ODR倫理原則)
(2) ダイバーシティと異文化コミュニケーション
(3) デジタルアクセシビリティと障害対応
(4) 当事者心理とネット上での行動態様
3.ODRのベストプラクティス
(1) オンラインメディエーションの準備と実施
(2) オンライン仲裁の準備と実施
(3) ODRの制度設計(紛争システム)、統合、プラットフォームの選択
(4) ODRにおける継続的な品質の確保(フィードバック、認証、規制)
(5) ODRにおけるプライバシー、セキュリティ、データ保護、法的問題
4.ODRの実践
(1) ODRプラットフォームの体験、プログラムの確認、利用テスト
(2) ビデオ会議システムを利用したシミュレーション
(3) オーディオ(電話等)を利用したシミュレーション
(4) テキスト(チャットまたはメール等)を利用したシミュレーション
(5) 当事者の期待値の管理と参加を促す方法
なお、ICODRでは、ODRのトレーニングを行う前に、対面でのADR(裁判外紛争解決手続)に関するトレーニングを受けておくことを推奨しています。
ODRはADRから派生した概念ということもあり、共通する理念や技法などがあることがその理由ですが、ADRに関する実務経験を有する場合は、ODRへのシフトもスムーズに進められるものと思われます。
日本におけるODRの普及に向けて、日本ODR協会でも設立後に、実務家に対し、ICODRのトレーニング基準に則った日本語でのトレーニングプログラムの提供を検討しています。
トレーニングのご希望や、内容についてのご質問などあれば、お問い合わせください。
※ICODRより翻訳の許可を得て掲載しています
(文責:渡邊真由)